家族旅行はアジアに行くことが多く、特にマレーシアはこれまで数回は訪問しています。
ランカウイという島には20年以上前から滞在することが多く、その自然環境には心が強く惹かれるものがあります。
最初に訪問した時、飛行機からタラップで地上に降り立ち徒歩で空港の建物に向かいました。ランカウイ島の空港は小さく木造で暗く、最初はなんというところに来てしまったのかと思いました。空港を出るまでははたしてタクシーがあるのかも不安となるようなところでした。無事にタクシーに乗り少し走ると未舗装の穴だらけの赤土の道になり、タクシーは穴をよけて右に左に蛇行して走ります。
また、道を数十頭の水牛が横断していることがあり、タクシーは止まって道が空くのを待っていました。また、少し離れた田んぼや畑の中には多くの水牛がのんびりと草をはんでいます。そんな状態でとにかく全てが自然の中で動いているような雰囲気でした。
空港から約20分ほどで宿泊するホテルに到着しました。さすがにホテルの敷地内は外界とは全くの別天地で、そのあまりの格差に目がくらむ感じがしました。なお、私たちが滞在したホテルは、現在でも訪問すると宿泊するホテルで、家族全員のお気に入りのホテルです。
ホテルの客室はその大半がバンガロー形式で、フロントから客室まではゴルフカートのような乗り物で移動します。このゴルフカートは定期的にホテル内を循環しているほか、電話で頼めばすぐに部屋の前まで来てくれます。夜間のこのゴルフカートでホテル内を移動していると、ほんとに別の国のリゾートにいるのだなあという思いになりました(少なくとも日本でこのようなホテルは知りません。私が知らないだけなのかもしれませんが)。また、このホテルは5日以上の滞在者を対象に、週1回、野外パーティを開催してくれます。私たちも何回か招待されて参加しました。色々な国からの宿泊者やホテルのスタッフと、たわいの無い話で、南国の空気と美しい風景の中、ゆったりとした時間が過ぎていきます。
暑い空気、それでもゆったりした雰囲気、客室の床の隙間から見える地面、ちちち...と部屋の壁で鳴くやもり、ベランダに現れる猿、目の前の草むらをのしのし歩くオオトカゲ。朝食のサービスを頼み部屋のベランダにセットされる食事を眺める楽しみ、家族と食べる朝食。熱いコーヒーと熱いチョコレート。夕方、ホテルの前の海を港に向かって急ぐ小さな漁船。プールに浸かりながら、プールの中のバーカウンターで飲むジュース。最高のレストランと最高の景色。夢のような一時。様々な心に残る滞在中の思い出。津波による被害や、開発によりホテルの周囲は大きく変化しても敷地内はほとんど変化がないホテルです。思い浮かべればまた再訪したくなるホテルです。
このランカウイは大きく変化を遂げています。これはマレーシア政府の開発計画により道路、空港、港湾が整備されたこと。観光地化が進み高級ホテルが乱立したことです。
もう、現在では20年前の雰囲気は全くなくなりました。ランカウイ島の魅力は半減してしまいました。さらに悪いことに、観光施設などが増加したことにより、労働力が島の外部から多数流入してきて、少々人間としては質の良くない輩が増えてしまったことです。空港ではガラの悪い連中が出口で意味もなくたむろしており、気分が悪いことといったらありません。彼らから特に危害を加えられた事はありませんが、下卑た様子でこちらを伺っています。これでは警戒をせざるをえなく、リゾート地に到着した高揚した気持ちが冷えてしまいます。
最後にランカウイ島を訪問してから5年が経過しています。今はどのようなところになってしまったのか心配ではあります。それでもまた行きたいな!
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